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③WISC-Ⅴ検査の読み取りが、なぜ「PASS理論」からCHC理論へ移行していったのか
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⑬発達障がい児の学校での困りごとBEST 5とWISC-Ⅴ検査
⑳発達障害があると「精神疾患」になる可能性が高い理由とその対策法
発達障害や知的障害を持つ人々の平均寿命が、一般の人々と比較して短い傾向にあるという統計データが存在します。
しかし、「なぜ短いのか」という問いに対する答えは、単一の要因によるものではなく、複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられます。
また、障害の種類や程度、個人の生活環境や受けられる支援によっても大きく左右されるため、一概に論じることは難しい側面があります。
以下に、発達障害と知的障害を持つ人々の寿命が短い可能性のある要因を、障害の種類別に詳しく説明します。
ただし、ここで述べる内容は、あくまで統計的な傾向や研究で示唆されている可能性であり、全ての発達障害や知的障害を持つ人に当てはまるわけではないことをご理解ください。
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1. 知的障害を持つ人の寿命が短い可能性のある要因
知的障害を持つ人々の平均寿命が短い傾向にあることは、いくつかの研究で示唆されています。
その要因としては、以下のようなものが考えられます。
1.1 健康問題の合併と早期発症
・基礎疾患の合併率の高さ: 知的障害の原因となった遺伝子疾患や染色体異常に関連して、心臓疾患、呼吸器疾患、消化器疾患、内分泌疾患、てんかんなど、様々な基礎疾患を合併しやすい傾向があります。これらの疾患が早期に発症し、重症化することで、寿命に影響を与える可能性があります。
・免疫機能の低下: 一部の知的障害の原因疾患においては、免疫機能の低下が見られることがあります。感染症にかかりやすく、重症化しやすいため、生命を脅かすリスクが高まります。
・摂食・嚥下障害: 重度の知的障害を持つ場合、摂食や嚥下機能に障害を伴うことがあります。誤嚥性肺炎のリスクが高まり、栄養状態の悪化を招くことで、寿命に影響を与える可能性があります。
1.2 生活習慣病のリスク
・運動不足: 身体活動の機会が少ない、運動能力の発達に遅れがあるなどの理由から、運動不足になりがちです。
・偏った食事: 食事の選択肢が限られる、特定の食品しか食べないなどの偏食が見られることがあります。また、肥満傾向にある場合もあります。
・健康管理の困難さ: 自身の健康状態を理解し、適切な健康管理を行うことが難しい場合があります。定期的な健康診断の受診や、体調不良時の適切な対応が遅れることがあります。
これらの要因が重なることで、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病のリスクが高まり、結果的に心血管疾患や脳血管疾患による死亡リスクを上昇させる可能性があります。
1.3 事故や外傷のリスク
・危険認知能力の低さ: 危険な状況を認識したり、回避したりする能力が低い場合があります。交通事故、転倒、火傷、溺水などの事故に遭うリスクが高まります。
・衝動的な行動: 衝動的な行動が見られる場合、予期せぬ事故につながる可能性があります。
・周囲の支援体制の不備: 適切な見守りや安全確保のための支援体制が整っていない場合、事故のリスクをさらに高める可能性があります。
1.4 社会的要因と支援の不足
・医療アクセスにおける障壁: 自身の症状をうまく伝えられない、医療機関でのコミュニケーションが難しいなどの理由から、適切な医療を受けられないことがあります。また、専門的な医療を提供できる機関が限られている場合もあります。
・福祉サービスの不足: 適切な生活支援、健康管理支援、緊急時の対応などが不足している場合、健康状態の悪化や事故のリスクに対応できず、寿命に影響を与える可能性があります。
・差別や偏見: 医療機関や地域社会における差別や偏見が、適切な支援や医療へのアクセスを妨げる可能性があります。
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2. 発達障害を持つ人の寿命が短い可能性のある要因
発達障害は、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害など、多様な特性を持つ障害の総称です。
知的障害を伴う場合と伴わない場合がありますが、寿命に影響を与える可能性のある要因は、知的障害の有無や発達障害の種類によって異なる側面があります。
2.1 知的障害を伴わない発達障害の場合
知的障害を伴わない発達障害を持つ人々の平均寿命が、一般の人々と比較して有意に短いという明確な統計データは、知的障害を伴う場合に比べて少ないのが現状です。
しかし、以下の要因が、健康状態や生活の質に影響を与え、間接的に寿命に関わる可能性はあります。
・精神疾患の合併率の高さ: ASDやADHDを持つ人は、うつ病、不安障害、双極性障害などの精神疾患を合併しやすい傾向があります。これらの精神疾患が重症化したり、適切な治療を受けられなかったりする場合、自殺のリスクを高める可能性があります。
・生活習慣病のリスク(二次的な要因): 社会生活における困難さ、ストレス、不規則な生活習慣などから、運動不足や偏った食事になりやすく、生活習慣病のリスクが高まる可能性があります。
・事故や外傷のリスク(ADHD): ADHDの特性である衝動性や不注意さから、予期せぬ事故や怪我のリスクが高い可能性があります。
・社会参加の困難さと孤立: コミュニケーションの困難さや社会性の特性から、社会的な孤立を感じやすく、精神的な健康状態が悪化する可能性があります。また、適切な社会参加の機会が得られないことが、健康維持のための活動への参加を妨げる可能性もあります。
・健康管理の困難さ: 自身の体調の変化に気づきにくい、医療機関でのコミュニケーションが難しいなどの理由から、適切な医療を受けられないことがあります。
2.2 知的障害を伴う発達障害の場合
知的障害を伴う発達障害を持つ人々の場合は、上記の知的障害を持つ人に共通する要因に加えて、発達障害特有の特性が複合的に影響し、寿命が短くなる可能性が考えられます。
・コミュニケーションの困難さ: 自身の健康状態や痛みを周囲に適切に伝えることが難しい場合があります。そのため、病気の発見が遅れたり、適切な治療を受けられなかったりする可能性があります。
・感覚過敏やこだわりによる影響: 特定の食品しか食べられない、特定の環境に強いストレスを感じるなどの特性が、健康維持のための食事や生活習慣を困難にする場合があります。
・行動上の問題: 自傷行為や他害行為が見られる場合、生命を脅かすような事態につながる可能性があります。
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3. 寿命に関する研究の課題と今後の展望
発達障害や知的障害を持つ人々の寿命に関する研究は、まだ十分に進んでいるとは言えません。以下のような課題が存在します。
・データの収集と分析の難しさ: 障害の多様性、合併症の有無、生活環境、支援体制など、影響を与える要因が多岐にわたるため、均質な集団でのデータ収集と分析が困難です。
・死因の特定と記録の不確かさ: 死亡時の死因が正確に記録されていない場合や、基礎疾患との関連が十分に分析されていない場合があります。
・長期的な追跡調査の不足: 発達障害や知的障害を持つ人々の生涯にわたる健康状態や生活状況を追跡する長期的な研究が不足しています。
今後、より正確な寿命の傾向を把握し、寿命を短くする要因を特定するためには、以下のような取り組みが重要となります。
・質の高いデータの収集と分析: 標準化された方法を用いた詳細なデータの収集と、統計的な分析手法の高度化。
・死因に関する詳細な調査: 死亡時の詳細な病歴や検査結果の分析、基礎疾患との関連性の明確化。
・長期的な追跡調査の実施: 生涯にわたる健康状態、生活状況、受けた支援などを継続的に追跡する研究の実施。
・多職種連携による研究: 医療、福祉、教育など、様々な分野の専門家が連携し、多角的な視点から研究を進める。
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まとめ
発達障害や知的障害を持つ人々の寿命が短い可能性には、合併しやすい基礎疾患、生活習慣病のリスク、事故や外傷のリスク、社会的な要因と支援の不足など、様々な要因が複雑に関わっています。
特に知的障害を伴う場合は、これらの要因がより顕著に現れる可能性があります。
知的障害を伴わない発達障害の場合、精神疾患の合併、生活習慣病のリスク、事故のリスク、社会的な孤立などが、間接的に寿命に関わる可能性があります。
重要なのは、これらの要因を理解し、早期からの適切な医療的介入、生活習慣の改善支援、安全な生活環境の整備、社会参加の促進、そして何よりも差別や偏見のない社会の実現を目指すことです。
一人ひとりのニーズに合わせた包括的な支援を提供することで、発達障害や知的障害を持つ人々が、より長く、より質の高い生活を送れる社会を築いていくことが求められます。
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発達障害ラボ
車 重徳