皆さん、こんにちは。
発達心理サポートセンターの心理士/カウンセラーの車重徳です。
さて、こんな質問を頂きました。
「6歳のお子さんの件でご相談があります。先日の療育でWISC4の検査にある絵の抹消のような課題をやってみたところ、整列している中から探し出すより、ランダムに並んだ中から探し出すほうが正確で速かったです。
内容は同じで、並び方のみが違うものです。
ちなみにお母さまからの情報では、文字の多い本を読むのは拒否することが多く、大好きな電車の本は読むそうです。
このような特性のお子さんに対してどのような課題を提供し、どのような対応をしていくべきでしょうか?」
というものです。
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WISC4にはPSI(処理速度指標)というものがあります。これはいくつかみれるのですが、言ってしまえば、視覚と手を使った作業スピード、同時処理を見ていきます。
その時に2パターンの検査っていうのをやるんですが、脳でその処理していくスピードがきれいに整理整頓されているものの処理していくのか、バランバランにごちゃごちゃに乱雑に並んでいるものを処理していくのどちらがスピード速いですかっていうものなんです。
人によって異なります。
多くの人が、きれいに整理整頓されている方が作業スピードって速いですよね。
例えば、何か物を探す時もきれいに本屋さんで本が並んでいるときのほうが探し出しやすいんです。
アイウエオ順だからではなく、本棚に本がきちんと収まっている方が探し出しやすいという人もいれば、ぐっちゃぐちゃに散らかっている方が探しやすい人がいるんです。
これは実際、子供が片付けたくないからごちゃごちゃのほうが片付けやすいと言っているのではなく、検査の上で、ごちゃごちゃのほうが見つけやすいっていうのが出てるんです。実はそういう人もいるんです。
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これは何が考えられるのかというと、整理整頓されているわけではなく、ごちゃごちゃのほうが、作業スピードが速いっていうのはどういうことかというと、まず1個は、ごちゃごちゃというか、整理整頓されてあったとしても、どのように処理を進めていったらいいかわからないとか、またはどのように進めていったら作業スピード、作業効率があがっていくのか、そういった一般常識というか知能がまだ、足りていないという可能性があります。
そういう場合は、整理整頓されている場合は、左から右に横に進んだ方がいいのか、人間の目というのは横長です。(動物の目って縦長な動物もいると思います。)
人間は横の動きのほうが、しやすいです。
アイムーブメントといって、眼球って、眼筋という筋肉で動かします。
だから、斜視の方とかは、その筋肉が弱かったりするから目がどっちかに引っ張られてしまうんです。
その引っ張られるのって大体左右じゃないですか。上下だと白目をむくとかになってしまいます。
それって眼筋という筋肉が関係していて筋肉だから鍛えることができます。眼筋が整っていないと眼球って横に動かせないんです。
縦って、人間の目の幅が狭いので動かすことができる感覚が限られています。
話が脱線してしまいました…。
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まずは、どのように進めていったら横であれば、右から左なのか、左から右なのか。それも左利きなのか右利きなのかで処理のスピードは当然変わってきます。
英語とか横文字に慣れている人は左から右で読み進めていくようにやった方が速いです。ただ、右から左のほうが速いケースもあります。
なぜかというと左から右に進めると、次に処理しなければいけない文字や言葉、絵って右利きの場合手で隠れてしまっているんです。右手で隠れているところから現れる。でも、右から左に処理させていくと、通常英語とか読む文章とは違います。(アラビア語は右から左に読むんですが)
すると、次の文字まで目に入るんです。実は右から左の方が作業しやすい人もいるんです。
え⁉っていうも人もいるんじゃないでしょうか。
大人になると左から右に文字読むことに慣れてしまうから、横書きの箇条書きとか、ワードや書類の文章も左から右ですよね。だから慣れてしまうんですが、子供の場合違うパターンがあります。
そして、もう1つが本当に整理整頓されていると気持ち悪い人もいるんです。
バラバラのほうが、本当に心的印象ですが心地いいっていう人がいるんです。
きちっと枠にはめられている=窮屈
っていう感じです。
自由が最高だ―。みたいなのに近いです。
そういった処理するものがどのように並んでいるかどうかで、窮屈に感じたり感じなかったりっていうことも実はあるんです。
実際、バラバラのほうが作業しやすいかどうかっていうのは、元々持っているその子の特性にも関係はしてくるという事です。
文字の多い本を読むことが多い…は、本を読むことが得意なのか、本を読むためのスキル・能力があるのかどうかっていうところにも関係してきます。
若干そこは、ずれます。
なので、文字が多いかどうかというところに関しては、文字が読めるのかどうかっていうのを見ていただいた方がいいと思います。
電車は、好きなものは誰でも読みますので。
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では、このどのような対応をしていくべきかというところです。
整理整頓しているものの処理能力を高めたいのであれば、その整理整頓してあるものを処理させていく練習をしていくしかないです。
文字がたくさん書いてある本を読めるようにしていくのであれば、以前お伝えしたように、本を読むことに対して必要な能力を高めていく必要があります。
例えば、この間のブログ(本がなかなか読めない)にも説明しているかと思いますが、単語力があるのか、指示代名詞、暗喩・隠喩が分かるのか、一般常識があるのか、そもそも文を読んでイメージできますか、文法分かりますか、文の構造分かりますか、短期記憶ありますか、こういったことが関係してきます。
なので、そこを確認していったうえでなぜ長文が読めないのか、好きにならないのかっていうのを読み解いていくところになります。
そのため、絵の抹消において整列は、規則配列と不規則配列の2パターンがありますが、きれいに並んでいるのか、バラバラに並んでいる方が得意なのかは本人の特性によります。
あと、特性によらないところで考えるとどのように処理していっていいか分からないということが考えられるというところになります。
いかがでしょうか。
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発達心理サポートセンター
心理士/カウンセラー 車重徳