皆さん、こんにちは。
発達障害ラボ室長の車重徳です。
さて、こんな質問を頂きました。
「WISC4検査の差が大きいと生きにくいと言われています。なぜ生きにくいいのでしょうか。」
というものです。
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WISC4検査の差が大きいと生きにくいとよく言われていますが、実際に差が大きいと生きにくい意味みたいな論文は出ていません。
僕自身が全部の論文見ているわけではありません。
すべて英語なので、時間もかかるので全ては読み切れていません。
しかし、たくさんの論文は読みました。
1つの考えとして、その指標得点の1番高い数値と一番低い数値を引き算します。
引き算してその差が23以上あると、FSIQの値は信用してはいけないというのがあります。
分かりやすく説明すると、例えばVCI(言語理解指標)が150、PRI(知覚推理指標)が50、WMI(ワーキングメモリー指標)が100、PRI(処理速度指標)が100だったとします。
ちなみに、WISCは一番下が40、一番上が160です。
4つ全部足して4で割るわけではないですが、150と50の平均は100くらいですよね。
FSIQを100だったとします。
そのFSIQは信頼できますか?
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VCIが150、PRIが50だったら、FSIQ100だったとしても、その子って生きにくいと思います。
PRIが50だからです。
そう考えると生きにくいという話になります。
でも、なぜ生きにくいのかをきちんと説明できる人というのは少ないです。
ちなみに指標得点の差が激しい場合は、下位検査を見ていく前にGAIとCPIという風に考えていきます。
学校の勉強に関係しているものはGAI、VCIとPRIのグループです。
日常生活に関係しているものはCPI、WMIとPSIのグループです。
しかし、VCIとPRIの差が大きいこともあるし、WMIとPSIの差が大きいこともあります。
その時は、下位検査をしっかり見ていきます。
下位検査はVCIであれば、類似、単語、理解です。
PRIであれば、積み木模様、絵の概念、行列推理です。
WMIであれば、数唱、語音整列です。
PSIであれば、符号、記号探しです。
差が大きいとはどういうことかというと、例えばVCIとPRIの差が大きいとします。
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相手から何かを言われたときに、言われた事柄を理解するがVCIです。
そのため、VCIが高ければ言語が達者なはずです。
しかし、PRIが低いとPRIは場の空気を読む力も当てはまります。
場の状況を説明するときに、場の空気読めていない、自分なりの解釈が入ってしまう、VCIが高いとすると、現実とそぐわないような言葉で説明していってしまうことがあります。
それは嘘ではありません。
その人にはそう見えているからです。
しかし、言語理解高いのになぜこれが分からないの?と言った感じで見られてしまいます。
人間の能力って何かできると何もかもできると思ってしまう人っています。
分かりやすくお伝えすると、100m走が速かったら、マラソンも速いみたいな感じです。
走り幅跳び飛べたら、走高跳もできるんじゃないかなといった感じです。
それが運動であれば、目に見えますが知能であれば見えにくいです。
なので、本人がなかなか気づいてもらえなくて生きにくいという風に言われています。
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ただ、そこは補うことができるものもあります。
例えば、場の空気読めなかったとしてもVCIの中には、下位検査で言うと理解という項目があります。
理解は対社会的な一般常識を見ることができます。
場の空気が読めなくても、対社会的な一般常識を理解する力が高ければ、その一般常識で置き換えて、読み取ることができます。
こういった能力の置き換えということができます。
差が大きいと生きにくいというのは、事実ではありますが、物によって異なるのが1つです。
そして、物によって異なりますが、代替行為というかほかの能力で補うことも可能ということが多々あります。
他にも代替行為はあるので詳しくは別の機会でお伝えしていければと思います。
いかがでしょうか。
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発達障害ラボ
室長 車重徳