皆さん、こんにちは。
発達障害ラボ室長の車重徳です。
さて、こんな質問を頂きました。
「WISC4を取りました。指標得点の低いところはどうやって伸ばせばよいのでしょうか。」
というものです。
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WISC4の検査結果の解説からしていきます。
まずはFSIQというトータルのIQがあります。
FSIQは4つに分かれています。
その4つに分かれたものを指標得点と呼びます。
VCIが言語理解指標、PRIが知覚推理指標、WMIがワーキングメモリー指標、PSIが処理速度指標という4つに分かれています。
通常はFSIQと指標得点のIQしかもらえないことになっています。
ただ、一部の検査機関とかだと下位検査(VCIだと類似、単語、理解、PRIだと積み木模様、絵の概念、行列推理、WMIだと数唱、語音整列、PSIだと符号、記号探し)まで教えてくれるところもあります。
WISCは1度とったら大きな波形は変わらないと言われています。
例えば、WMIが低いのであれば、その子のパーソナリティは聴覚の短期記憶が低いということになります。
それがトレーニングの結果、どこよりも高い数値をしますことはほぼほぼないです。
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僕はWISCの検査を500~600人取っていますが、とびぬけて上がったのは大体7~8%です。
1割満たないですが0ではありません。
全平均を見ることはありませんが、アメリカの統計上はトレーニングの結果上がるのは1割以下です。
そのため、可能性としてはあります。
その中で、VCI、WMI、PRI、PSIで最も伸ばしやすい能力はWMIです。
ワーキングメモリー指標をどのように伸ばすかというと、一番早いのはNバック式記憶トレーニング法です。
Nは変数なので、5バック、3バックと変わります。
Nの数字が上がるほど難しくなります。
では、どのようにNバック式トレーニングを行うのでしょうか。
口頭で簡単な足し算を出していきます。
そして、口頭で出した簡単な足し算を積み上げて記憶していきます。
例えば、2+2=ときいて、4と答えてもらいます。
そうして、4を覚えていてもらいます。
3+3=ときいて、6と答えるので、記憶の積み上げは4,6と覚えていきます。
4+4=ときいて、8と答えてもらいます。
そのため、覚えるのは4,6,8となります。
1+4=ときいて、5と答えます。
そのため、覚えるのは4,6,8,5となります。
そこでN=4、4バックします。
4問前の答えはなんですかと聞きます。
最初の答えになるので答えは4となります。
これを繰り返し行っていきます。
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これが、めちゃくちゃワーキングメモリー上がります。
そのため、気になる方がいればぜひ試してみてください。
よく質問受けるのが、大体何分くらいすればいいですかと聞かれますが、ぶっちゃけ全然楽しくはないので1時間も子供出来ません。
5分、10分で構いません。
だけど、可能であれば2日に1回くらいの頻度で行うと伸びるかなと思います。
デンマークの教授がこれについて論文書いています。
もし、論文気になる方がいれば読んでいただけたらと思います。
他には視覚の短期記憶だと、トランプの神経衰弱がおすすめです。
これは無意味刺激と言います。
数字や意味の分からないマークは無意味刺激で、豚、牛、机、太陽、車とかは有意味刺激です。
神経衰弱は無意味刺激なので、本来はつまらないものです。
記憶力の低い子供や集中力がすぐに途絶えてしまう子供とかは、「神経衰弱疲れるから嫌い」とかってよく言いませんか?
おそらく言うと思います。
人間だれしも苦手なことって嫌ですよね。
そのため、取り組みたくないということはあるかと思います。
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神経衰弱であれば52枚すべて行うのは多いかなと僕も思うので、最も少ない時で4枚で行ったこともあります。
でも、本当に視覚記憶苦手な子は4枚でも、僕が最初にめくったところと同じところをめくったりします。
永遠に終わらないようなことになります。
10枚ぐらいで始めるといいかなと思います。
もしそれが無意味刺激すぎてつまらないのであれば、公文カードやAKB48好きな子であればAKBのカードを2セットとか買ってやっていたこともあります。
そうすると、推しのカードのために集中力上がったとかもあります。
有意味刺激に切り替えていくのもいいかと思います。
聴覚の短期記憶はWMIです。
視覚の短期記憶はPSIです。
そこからインプットした情報で大事だと海馬でみなされたものだけが、長期記憶として保存されます。
まずは、目か耳から情報をインプットしないと長期的に保存という形にはなりません。
そのため、WMI、PSI鍛えるのが先なのかなと僕は思います。
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PSIを鍛えるときに選択的注意という項目があります。
下位検査で言うと絵の抹消という項目です。
選択的注意というのはたくさんあるものの中から必要なものを見つけ出して瞬時に記憶するといった能力です。
そこを伸ばすのであれば、ウォーリーを探せやみっけ、ひょっこりはん、間違え文字探し、間違え探し、点つなぎ、迷路とかが効果的になります。
できれば、これらも時間を測って行うのがいいかなと思います。
お年寄りの本だと子供には関係ないという方もいますが、脳活としてみれば同じです。
子供用もお年寄り用も関係ありません。
お年寄りの認知症機能改善だったり、能力アップ、知能アップトレーニングといった本を買うのも1つかと思います。
ぜひご確認いただけたらと思います。
発達障害ラボでは、迷路、点つなぎは無料でダウンロードできるように挙げているので、もしご興味あれば試してみてください。
いかがでしょうか。
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発達障害ラボ
室長 車重徳