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221【WISC4検査】#90 うちの子は長文読解が苦手です。どうすればよいのでしょうか。

皆さん、こんにちは。

 

発達障害ラボ室長の車重徳です。

 

さて、こんな質問を頂きました。

「うちの子は長文読解ができません。というより苦手です。なぜなのでしょうか。」

 

というものです。       

 

 

 

 

長文読解が苦手な方結構多いです。

特に男の子のほうがより苦手なのかなと思います。

長文読解を要素分解と呼んだりするのですが、要素分解とは細かい行動に落とし込むという事です。

細かい行動を知能に連結した行動に落とし込んでいくというのをやっています。

 

長文読解は知能以外のことも関係ありますが、そもそも長文読解はどういうプロセスをたどるのかということを紐解いていきます。

例えば、長文読解って文章が書いてあったときに文章を読み解くときに、まずは単語力がいります。

その単語力がないと何書いてあるか読めないです。

WISC上、その子に単語力があるかどうかはVCI(言語理解指標)の単語に当てはまります。

 

VCI(言語理解指標)には当該年齢レベルにおいてどれくらい単語力があるのかっていうのを見る項目があります。

次に、その文章に指示代名詞や暗喩、隠喩とかが入っていると読めないのかも見ていきます。

これらを読み解く力はWISCで言うと、VCIの類似という項目です。

類似がどれくらいあるか見ていく形になります。

 

 

 

 

次に一般常識が欠けていると本の内容が分からないです。

例えば、思春期の女の子の心の機微みたいなものって、小学校低学年の男の子って分からない子が多いと思います。

学校で大好きな先輩と目が合いました。

「おはようございます」と声をかけたのに、先輩は無視していってしまいました。

“私のことなんてもうどうだっていいのかしら”と不安に思い、もじもじしてしまう。

 

こんなの小学校低学年の男子は分かりません。

声かけて振り返らなければ、「無視すんなよ」と言うか、もう1回言ってみると思います。

僕のこと嫌いかもとはならないかと思います。

 

こんな感じに一般常識がずれると会話がかみ合いません。

その一般常識があるのかどうかをWISCで見ることができて、WISCだとVCIに理解という項目があります。

理解というのは対社会的な一般常識を示しています。

そのため、理解を見れば一般常識があるかどうかを見ることができます。

 

 

 

 

そして、そういった文章がどこにどう書かれているのかを見つけていくのは、選択的注意と言います。

沢山あるものの中から必要なものだけを見つけ出すというのを選択的注意と言います。

ここが整っていないと、同じ行を何度も読んだり、先生が黒板に書いた文字をノートに書き写す時に同じところを何度も書いてしまったり、どこ書いていたのかわからなくなってしまうということがあると思います。

そのため、選択的注意もすごく大事になってくるかなと思います。

 

ここから国語的なことに入ります。

そもそも長文読解するときに、文法ってわかっていますかという事です。

形容詞は何を修飾していて、形容動詞は何なのか、副詞は何なのかという文法分かっていますか。

これは国語力なので知能ではありません。

教えれば何とかなる場合が多いです。

 

次に文の構造分かっていますかという話です。

単文、複文、重文といったものです。

これも知能ではないので教えれば何とかなります。

 

知能ベースで考えた場合のほかは何なのかというと、行間を読むことです。

行間は作者が文字としては表してはいないけど、作者の意図が隠れているところです。

それを行間と言います。

文章を読んで、イメージできるかどうかというのも必要です。

例えば、青い空、白い雲、ほとばしる波しぶき、熱々の砂浜って書いてあったら、海とは一つも書いていないけど、夏の海を想像できると思います。

これはWISCで言うとPRI、知覚推理指標になります。

 

 

 

 

PRIがないと、作者の意図も読めないし、文章を読んでもイメージできないです。

イメージできないということは字面を追うだけになります。

字面をただ目で追っても何も面白くないので、本を読まない。

本を読まないから、単語力も、読解力もつかない。

単語力がないから、また本を読めないという負のスパイラルになってしまいます。

 

最後にWISCで言うとWMI(ワーキングメモリー)の短期記憶が必要になります。

長文読解するのに短期記憶が必要かというと、文章って前の段落に書いてある内容を脳の一部に記憶として保持して次の段落に行きます。

だから、前に書かれている文章の内容を仮に忘れてしまったら、なんのこっちゃで話が進んでいきます。

ということは、何も面白くないですよね。

 

例えば、推理小説で考えると色んな伏線があります。

その伏線が複雑に絡み合って、最後1つに収束して犯人が捕まるから面白いな問ことになると思います。

その伏線でてきても片っ端から忘れてしまっては、なんのこっちゃだと思います。

アハ体験的なものはなく、犯人が急に出てきて終了してしまうので何も面白くないと思います。

そのため、ワーキングメモリーも大事です。

 

 

 

 

こういった風に、長文読解苦手となったときはまずは何が苦手なのかを考える必要があります。

もし単語が苦手なのであれば、単語を入れたらいいです。

抽象的な言語概念の把握や指示代名詞が分からないのであれば、それを教えないといけません。

ワーキングメモリーがもし低いのであれば、段落ごとにまとめて指導するというやり方があります。

文章のイメージができないのであれば、イメージできるような何かや、漫画みたいなものを使ったりしてトレーニングするというやり方もあります。

 

長文読解が苦手な子にとにかくやらせ続けても得意にはなりません。

僕も六法全書を読めと言われても、何のことかさっぱりわかりません。

1回だから分からないんだよ。10回読みなさい。」と言われても読みたいと思いません。

無理やり読ませても嫌いになっちゃいます。

まずは、読み切れるだけの能力、知能を身につけてもいいし、どうすれば読めるようになるのかっていう環境調整をしてあげてもいいのかなと思います。

 

いかがでしょうか。

 

 

 

 

発達障害ラボ

室長 車重徳

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