皆さん、こんにちは。
発達障害ラボ室長の車重徳です。
さて、こんな質問を頂きました。
「WISC4検査を取りました。WISC4検査でLD、学習障害はどうやって見ていくのでしょうか。」
というものです。
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結論言うと、WISC検査は発達障がいや学習障害を診断するための検査ではありません。
WISC検査で何を判断するのかというと、その子は何ができて何が苦手なのかを判断していくというか、調べていく検査になります。
そもそも、病名の診断は医師しかしてはいけないので心理士レベルで、もし診断する人がいるとしたら医師法に抵触しています。
WISC検査して、何もわかりませんでしたでは、なぜとったのっていうことになりかねないので診断はしませんが少し触れていこうかと思います。
学習障害はそもそも正式な病名だと、DSM5やICD10の基準にのっとって限局性学習症という形で見ていきますが、文部科学省的に見ると聞く・読む・書く・話す・計算する・推論するという6つの能力の内の特定の物の使用と習得に著しい困難を抱える場合、学習障害とみなすというのが文部科学省のHPにも書かれています。
聞く・読む・書く・話す・計算する・推論することのそのどの項目が、WISC検査とどう照らし合わせることができるかを見ていきます。
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まず、聞くとなった場合聞く事ができますか?というのをWISC検査でみると何になるのでしょうか。
WMI(ワーキングメモリー)が低かったら聞く事ができないのかというと、それは早計過ぎます。
WMIは、聞くというより聴覚の短期記憶です。
だから、聞くってなった場合、聞いて理解するっていうのが文部科学省の提言に書かれているので、耳で聞いて記憶できるかだとWMIは必要です。
WMIが低いと、難しいという話になります。
聞いた内容を理解するというのは、VCI(言語理解指標)が必要になります。
VCIが低くても聞くがうまく機能しないことがあると思います。
読むはどうでしょうか。
読むってなると、まず最初に出てくるのが、VCI(言語理解指標)です。
VCIの下位検査覚えていますか。
単語と類似と理解です。
単語は単語力で、類似は暗喩、隠喩、指示代名詞、理解は対社会的な一般常識です。
そこが欠けていると、文章を読んでも理解できないとなります。
だから、まず、VCIありますか?っていう話になります。
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もし、VCIがなければ、聞くだけではなくて、読むも困難を抱える可能性があるよねってみなすことができます。
そして、読むときに一文だったらまだしも、もし長文読解のときです。
物語、小説とか、随筆とか論説文とかです。
そういった長文になった場合は、WMI(ワーキングメモリー)が必要です。
なぜワーキングメモリー?聴覚の短期記憶じゃないの?っていう人もいると思います。
WMI自体、指標得点ベースで見ると、単純な情報の短期記憶とみなすことができます。
どういうことかというと、 長文読解は文章を読み進めていく中で、前の段落に書いてある内容を脳の一部に記憶として保持して、次の段落行きます。
つまり、前の段落の内容をちゃんと覚えていないと、次の段落に進んでも、なぜ次の段落でそうなったのか、どういういきさつなのかっていうようなことが全くわかんないまま、字面を目で追うだけになっちゃうんです。
例えば、推理小説で言うと、いろんな伏線が出てきて、その伏線が、絡み合って絡み合って最後1つに収束する。
そして終息した時に犯人が捕まる。
あの伏線ってああだったんだ!なるほどってなります。面白かったと。
でも、全部の伏線を片っ端から忘れていっちゃったら、何のこっちゃで犯人が捕まり、なんも面白いと思わないっていうことになってしまいます。
だから本を読まない。
読まないから読解力つかないみたいなことになっちゃいます。
WMIが低かったとしても、長文読解、読むという項目は苦手な可能性があると思います。
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そして、読む時に字面を目で追うだけではなくて、目で見てイメージするという話です。
漫画みたいに、絵があれば別ですが、そもそも絵のない文字だけを見ていくときに、文章読んでイメージしますよね。
例えば、太郎くんと次郎くんが夏休みに海に行きましたね。
その時に、青い空、白い雲、ほとばしる波しぶき、熱々の砂浜って書いてあったら、それを頭の中で思い浮かべるじゃないですか。
こんな情景かなと。
その思い浮かべができないと、結局本を読んでもよくわかんないまま時を目でおって、はい終了ってなっちゃいます。
つまり、目で捉えた情報を頭の中で想像できますかっていう能力が本を読むときに必要です。
では、その本を読むときに必要な目で見た情報を頭で思い浮かべるその能力って何かというと、PRI(知覚推理指標)に当たります。
だから、知覚推理指標が低いと目で捉えた情報を頭の中でイメージすることができないということになります。
イメージできないとつまんないですよね。
つまんないから本を読まないっていうことにまたなってしまいます。
だから、文部科学省の聞く、読む、書く、話す、計算する、推論する、じゃあ今度は読むっていうのは、VCIもPRIもWMIもいるよねみたいな話なんです。
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聞く、読む、書くって何かというと、基本的には、PSI(処理速度指標)、そしてVCI(言語理解指標)も必要になってきます。
このように、WISCの検査結果に照らし合わせて、LDどうなんでしょうか。
それだけだと、色々な情報が交錯するので、LDなのかどうかって、わかりにくい可能性があります。
その子の特性、何にどう困っているのかっていうのをしっかり認識した上で認識したうえでWISC検査の解釈に彩りを加えます。
それが難しいです。
慣れてないと多分できないと思います。
僕とかは、かなりの件数見てます。
つい最近ソクラテスの卵っていうサイトがあって、心理士だけじゃない相談に応じる人が沢山載っています。
相談したい人はね、そのサイトにアクセスして、相談していくシステムです。
僕に相談した方のお礼のレビューとかあるんですが、会ったこともないし、WISCで数値を伝えて、その人の状況、その子の状況をちょっと聞いただけなのになんで会ったこともない我が子のことが、ここまでわかるんですか。とかって、やっぱりありがたいことに書いてくれています。
それはもう経験が違います。
普通の人とはっていう話ですが、うまく読みとくと、そこまでたどり着くことが実際可能です。
僕ごときでもたどり着いてます。
行ける人は行けると思います。
さあ、聞く、読む、書く、話す、計算する、推論するの3つのうち、聞く、読む、書くまでやりました。
計算する、推論するは、それぞれ皆さんでやってみていただければと思います。
いかがでしょうか。
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発達障害ラボ
室長 車重徳