皆さん、こんにちは。
発達障害ラボ室長の車重徳です。
さて、こんな質問を頂きました。
「初歩的な質問で申し訳ありません。WISC4という検査で何が分かるのでしょうか。」
というものです。
★
WISC4検査でよくあるのが、学校の先生に、子供の問題行動に対して「WISCとったらどうですか。」なんて、言われたりすると思います。
まず大前提として、WISC4検査は発達障害を調べる検査ではありません。
発達障害は、WISC4検査ではわかりません。
あと、我々心理士が、WISC4検査って取ったりしますが、そもそも心理士は発達障害等の診断はできません。
病気の診断っていうのは、医師法に抵触しちゃうので、 医者しかしちゃいけないです。
だから、WISCとったら、心理士に発達障害って言われるんじゃないか、言っている心理士が実際にいるみたいです。
その相談受けます。
心理士は診断しちゃダメです。
しかも、診断ってWISCでするのではなく、アメリカの精神学会が作ったdsm5っていう診断マニュアルか、who(世界保健機構)が作ったicd11という、診断マニュアルを元に、医師が診断しないとダメです。
だから、心理士は診断できないし、私、教員免許を持ってますけれど、学校の先生で、診断してる人いるって聞きますけれど、学校の先生は、そもそも診断なんてしちゃダメです。
だって、医療の専門家じゃないもん。
なんだかよくわかんない世の中になっていますね。
★
じゃあ何を、わかるようにするためにWISC4を取るのかっていうと、 心理士というか、専門家によって、見解って若干違うと思いますが、私が考えているところは、子供の得意なところと苦手なところを判断しましょうということです。
じゃあ、なんで得意なところと苦手なところを判断するのかっていうと、理由が、2つあって、 苦手なところを得意なところでカバーしましょうっていうことをやらせてみる。
その時に、ピンポイントで得意苦手が分からないとカバーしにくいんです。
そして、もう1個が苦手なところは、トレーニングである程度伸ばせる可能性があります。
あくまで可能性です。
人によってすぐ伸びるところ、時間がかかって伸びないところも実際あります。
だから可能性って言っています。
それもピンポイントで何が苦手かってわかりません。
例えば、僕、中学から不登校だったので、スポーツって全くできません。
野球も苦手です。
でも野球選手になりたいですっていう人がいたら何させますか?って話なんです。
とにかく試合にガンガン出せば、次第に、ルールも覚えて、ホームラン打てるようになるのかなっていう風に考える方いると思います。
そんなわけないよっていう方もいると思います。
でも、コミュニケーションで例えると、結構よくあって、この子はコミュニケーションが下手ですね。
だからコミュニケーションの機会をバンバン作りましょうなんて言う人いますが、 それって野球で言えば、野球上手になるために試合にバンバン出すのと一緒なんです。
コミュニケーションだってやっぱりよくあります。
集団行動が苦手だから、とにかく集団行動にどんどん関わらせて慣れさせましょうみたいな。
★
じゃあ野球で例えると、バンバン試合出しても上手にはならないよねっていうのはわかるはずです。
まず、キャッチボールしますよね。
ランニングして体力つけますよね。
柔軟体操、筋トレしますよね。
1日何百回もやりますよね。
フォームの確認しますよね。
全部ひっくるめて初めて試合じゃないですか!
だから、集団行動苦手だったら、なぜ集団行動が苦手なんですかっていうのを紐解いて、その対策を1つずつ立てていかないと、集団行動できるようにならないよという話です。
なぜコミュニケーション苦手なんですか。
そのコミュニケーション苦手な理由っていうのは、聴覚の短期記憶がダメなのか。
もしくは、単語力がなくて言ってる意味が理解できないのかとか、抽象的な言語概念の理解ができないのか、一般常識はずれているのか、自分の頭の中の思考がまとまらないのか、または、思考の言語化ができないのかとか色々あります。
これってコミュニケーションで使う能力なんです。
まあ、まだ実はあります。
これが細かく分からないとトレーニングしようがないんです。
だから、ピンポイントで何が苦手なのかっていうのを分かるようにするためなんですっていう話をしています。
これが僕はWISCをとる目的だと思います。
★
または、子供の問題行動が何かありました。
その問題行動って何が原因なのでしょうか。
怒って済むんだったら怒りゃいいんですよ。
怒って治るんだったら怒りゃいいんですよ。
でも怒ったって変わんないことあるよねと。
例えば、僕知ってる人は知っていますが、ADHDです。
かなり早口です。
じっとしてるのはダメ、早口だし、思考がバンバン飛びます。
さらに注意欠陥もあるので、忘れ物とかめちゃめちゃ多かったです。
だから僕、いろんなものをカバンに全部詰め込んでいってた人間です。
それは大人になってからもほぼほぼ変わらなくて、大人になってもなんでこんな荷物多いんですかって言われるぐらいの荷物を持ち歩いていました。もう、先々の荷物まで全部カバンの中です。
それなのに、なぜか当日忘れます。
よくわからないですよね。
自分でもよくわかりません。
でも、治りません。
★
脱線しましたが、そもそも子供は何が得意なのか、何が苦手なのかをピンポイントで理解した上、その対策っていうのを立てていく必要があるよねと言う話です。
ピンポイントで理解するために、必要なものがWISCという検査になっていくというとこです。
じゃあ問題行動です。
先ほど僕が言った忘れ物なのであれば、なぜ忘れてしまうのかっていうことを考えます。
まず、視覚認知です。
目で見た情報の認知能力が落ちているっていう可能性があります。
その中には選択的注意って言って、たくさんあるものの中から必要なものだけを見つけ出す力っていうのは選択的注意って言います。
それがかけていたら忘れ物多くなります。
WISCで言うと、選択的注意だけで考えると、PSI(処理速度指標)になります。
または、視覚認知です。
目で見た情報を認知する力はPRI(知覚推理指標) です。
WISC4検査だと、その数字が低いと、忘れ物って多くなるはずです。
またはPRIの中に行列推理っていう項目がありますが、その行列推理がもし低いのであれば 、今現状どういう状況で、この先どういうことが考えられるのかっていうことが分からない可能性があります。
わからないことによって、何が必要かがわからない、またはどういうことが予想されるのかわからない。
だから忘れ物してしまうなんていうこともあります。
今お伝えしたように、選択的注意が原因ならトレーニングしましょうってことになるし、トレーニングすることができれば何が必要なのか、それに対しての認知能力っていうのを上げることができたりします。
★
または、VCI(言語理解指標)の理解は対社会的な一般常識になりますが、ここを高めておくと、一般的にどういうものをどのタイミングでどれだけ持っていくのかっていうのも、
知識として持っておけば、物を減らしたり、どういう状況で何をなくすのかっていうのも防止できる可能性もあります。
こんな風に、WISC4検査の結果っていうのをちょっと捕まえていきます。
よくあるのは、「子供のお勉強ができません。苦手です。どうしたら良いのでしょうか。」です。
勉強苦手だからガンガンやらせればいいのかっていうと、そうじゃないケースがあるんです。
それは、冒頭お伝えしたように、能力があって初めて試合に出れば、野球でホームランを出せます。
でも、何にもわからないのに、いきなり試合出したってダメじゃないの?って話です。
だから、もしお勉強であれば、WMI(ワーキングメモリー)で聴覚の短期記憶、PSIで視覚の短期記憶、どちらから入れた方が短期記憶として効率よくインプットできるのか見ていきます。
その後、長期記憶の保持ってどうなってるのか、そんなことを考えていったりします。
効率的にお勉強できるようにするためにどうすればいいのかっていうのを考えていくべきなんです。
ただ、中々こんなふうにWISC4検査を使いこなしてるっていう人は、心理士さんも多くはないんですが、一部いることは事実です。
ただ、まだまだ少ないです。
しかも、僕は、学校の先生に、授業を担当している先生にこういった思考を持ってもらいたいです。
特別支援学級の先生だけ知っていればいいってことではないと、僕は思います。
普通級の中にも、発達障害グレーゾーンの子ってたくさんいるはずなんです。
そういった子たちが、なおさら、授業の中で困らないように、少しでもお勉強を定着 させられるようになっていただくのが、僕はベストかなって思います。
だから、多くの方にWISC4検査をもっと知っていただきましょうっていうので、検査をしてるということになるわけです。
★
いかがでしょうか。
発達障害ラボ
室長 車重徳